オリンピックと同じ場所で、「パラリンピック」もおこなわれていることを知っていましたか?
「身体障害者がおこなうスポーツ大会」という印象はあるかもしれませんね。
しかし、その歴史やルール、背景をもっと知れば、オリンピック以上におもしろく、興味がわくかもしれません。
この記事でパラリンピックの歴史やルール、その背景を解説します!
2020年3月24日、新型コロナウイルスの影響で惜しくも延期という結果になってしまった東京2020オリンピック・パラリンピックですが、2021年の7月、8月にそれぞれ開幕されると正式に決定がされました。
パラリンピックとは
パラリンピックは、身体麻痺、欠損、知的障害などさまざま障害をもったアスリートたちがメダルを目指して競うスポーツ大会です。
4年に1度、オリンピックの終了後に、オリンピックと同じ場所でおこなわれます。
パラリンピックの意義は、多様性を認め、だれもが活躍できる場所を提供すること、共生社会を実現するためにあります。
パラリンピックの名前の由来は?
もともとはパラブレシア(おもに脊髄損傷による下半身麻痺)とオリンピックを合わせた造語でした。
しかし、下半身麻痺だけではなく視覚障害や聴覚障害などさまざまな人が参加できるようになり、1998年のソウルオリンピック以降、パラレル(平行)とオリンピックをかけあわせた造語となっています。
パラリンピックの歴史
パラリンピックの歴史は1948年にさかのぼります。
ロンドン近郊のストーク・マンデビル病院の医師、ルードウィッヒ・グットマンが、第二次世界大戦で脊髄を損傷した兵士たちのリハビリをおこなうために、スポーツ大会を開いたのが始まりです。
リハビリにスポーツを取りいれたことで、兵士たちの約85%が精神的に回復し、社会復帰に成功しました。
それから、スポーツを取りいれたリハビリがますます広まり、さらなる競技性が追加されます。1960年にローマ法王の呼びかけにより、ローマで第1回パラリンピックがおこなわれました。
第2回パラリンピックは1964年、東京です。まだ認知度が低い、障害者の定義やルールが明確でないなど、なかなか課題が多かったパラリンピックは当時、受け入れがたいものでした。
そこでも、グッドマンの強い呼びかけと、当時の天皇が応えたことにより、東京でパラリンピックの開催が決まりました。
パラリンピックの始まりであり、その普及に尽力したグッドマンの言葉は、パラリンピックを象徴するものとなっています。
「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ!」
パラリンピックに参加する選手たちは、このように強い意志と勇気、誰もが同じステージに立てる公平さをもって競技をおこなっています。
東京2020パラリンピックのルール
パラリンピックは、すべての身体障害者が参加できるわけではありません。
国際競技連盟が指定した競技大会で上位入賞し、ランキング入りすることが必須です。
クラス分け
柔道やレスリングは、性別や重量級で分けられていますよね。
パラリンピックは非常に細かく、競技・障害別、障害の重度ごと、さらに選手たちの身体能力もかんがみて、クラスが分けられます。
同じ障害でも、たとえば下半身麻痺は腹筋を動かせるかどうかで競技の差が生まれてしまうからです。
車いすバスケ(5人制)は、運動機能・動作の評価、障害の重度をポイント制で数え、5人合わせて、各チーム同じポイント数になるようにしています。
視覚障害者のみでおこなわれる柔道だけは、性別・重量級でクラス分けされています。
東京2020パラリンピックにおける薬の使用
障害者の方の多くは、障害を軽くしたり、治すための薬をもっています。
ドーピングや危険行為だと判断されないために、事前に許可願いを出します。
競技の能力を上げるものでないこと、必ず摂取する必要があることなどを認められ、服用しています。
東京2020パラリンピックでおこなわれるスポーツ一覧
通常のスポーツとちがって、かわったルールのものばかり。
新鮮さがあって、とても楽しいです。
ぜひ、つぎのスポーツをご覧ください!
①アーチェリー
②陸上競技
③ボッチャ
ボッチャは「地上のカーリング」と呼ばれています。白い目標球に、赤・青のボールを転がして目標球にいかに近づけたかを競います。重度麻痺や四肢障害者のために考案されました。
④カヌー
⑤ゴールボール
目隠しをした選手たちが、音の鳴るボールを転がして、ゴールをねらいあう対戦型競技です。
⑥柔道
⑦パワーリフティング
⑧ボート
⑨自転車
⑩馬術
⑪5人制サッカー
⑫卓球
⑬トライアスロン
⑭水泳
⑮シッティングバレーボール
座ったままおこなう6人制バレーボールです。レシーブ以外は、臀部が床から離れてはいけないというルールがあります。
㉓バトミントン
2020年パラリンピックから正式種目となります。
⑰セーリング
⑱射撃
⑲車いすラグビー
⑳車いすバスケ
㉑車いすテニス
㉒車いすフェンシング
また障害がある方が参加できるスポーツとして、「eスポーツ」がアジアンオリンピックの正式種目にもなっています。
2021年8月24日パラリンピックを観よう!
パラリンピックは2021年8月24日~9月5日まで開催されます。
選手たちは、障害という、大きな困難を乗り越え、自分を高めてきた方たちです。
その選手たちが、強い意志と勇気、公平さをもって競います。
きっと胸が熱くなる勝負を観られること、間違いありません。
パラサポWEB
TARZAN特別編集 パラアスリートJAPAN
家庭画報プレミアム
日本義肢装具学会誌 陶山哲夫「障害者(パラリンピック)の概要
バイオメカニズム学会誌 初山泰弘「パラリンピックの総論と現状」