田中ビネー式知能検査では、精神年齢やIQがわかります。
知的障害を判断するのに、広く使われている検査です。
ほかの子よりできないことが多い気がする。
指さしに反応しない。
なんとなしに感じていた違和感を明らかにすることができます。
田中ビネー式知能検査の概要や、検査の方法などを解説していきます。
田中ビネー式知能検査Vとは?
まず「ビネー」というフランスの研究者が考案し、精神科医のシモンが協力。
そして、アメリカの研究者、ターマンによって完成されたのが、「スタンフォード改訂増補ビネー・シモン知能測定尺度」。
これを田中寛一が翻訳し、田中寛一なりの解釈や、日本の文化・風土に合わせた変更を加えたのが、「田中ビネー式知能検査」です。
1947年から5回にもわたって改訂されたことから、今の最新版(2003年版)は「田中ビネー式知能検査V(ファイブ)」とされています。
2003年版では、より子どもの発達にあわせた問題に変更されました。
さらに、図版のカラー化、使用する道具をどの子でも使いやすいようにしたり
検査結果が一目でわかるアセスメントシートを採用したりしています。
2歳~成人まで幅広くおこなうことができる知能検査です。
田中ビネー式知能検査Vの特徴は?
深い歴史をもつ、田中ビネー式知能検査Vの特徴は何でしょうか。
知能を総合的に評価する
「14歳未満まで、知能は個々の能力の寄せ集めではなく、1つの統一体である」というビネーの考えにしたがって、知能を1つのまとまりとして評価します。
検査項目は、「知覚」「言語」「思考」「記憶」「数量」「構成」など。
1歳~3歳級は12問ずつ、4歳~13歳級は6問ずつ各項目に問題があります。
以上の検査結果から精神年齢を計算し、そして知能指数IQを割り出します。
精神年齢÷生活年齢(実際の年齢)×100 =知能指数IQ
なお、成人の場合は、精神年齢は計算しません。
同じ年齢の集団の平均を100とした場合、どのレベルかを見る「偏差値指数」で判断します。
検査項目は、「結晶性」「流動性」「記憶」「論理推理」の4つです。
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田中ビネー式知能検査Vで何がわかるのか?
知能の発達・遅れがわかる
定型発達よりも知能が遅れているか、発達しているかがわかります。
ただし総合的な判断のため、子どものどの部分が、人より優れているか、劣っているかという知能的側面はわからないという問題があります。
知能の特徴がわかる
成人の場合は、抽象語の理解、文の構成など見る「結晶性」、積み木を組み立てる「流動性」、単語や場面の記憶などを見る「記憶」、順番や時間など「関係論理・推理」を測定するため、何が得意か不得意か、知能の簡単な特徴がわかります。
具体的なアセスメントは?
①実施時間60~90分。
先生と1対1でテストをおこないます。
②お子さんと同じ年齢の子どもたちが正解した課題を解かせます。
1歳は積み木をつんだり、2歳は色分けや大きさの比較、3歳は円を描いたり、短文の復唱などをおこないます。
4歳は、順番を記憶したり、イラストを指して何であるかを答えさせたりします。
13歳まで、年齢にあわせた課題が出されます。
③1つでも不正解があった場合、1歳ずつ年齢級を落として課題を解かせます。
④全問正解した場合、1歳ずつレベルを上げていって、全問不正解になる上限を測ります。
⑤下限と上限から、精神年齢を特定し、知能指数を算出します。
田中ビネー式知能検査Vの注意点は?
環境づくりが大切
お子さんの調子や、テストによる緊張・不安で結果が変わることがあります。
とくに、テスト日はお子さんの調子に気をつけましょう。
また、テストをおこなう先生も緊張感をあたえないよう、話し方を工夫したり、やさしい空間づくりをする必要があります。
すでに自閉症など発達障害が見られるお子さんには、イラストボードでわかりやすくテスト内容を知らせます。
小学校・中学校に上がったお子さんには、知能検査と学校の成績はまったく関係ないことを伝えて、より言葉を慎重に選ばないといけません。
再検査は1年以上、期間を空けること
何度もおこなうと、テストの答えを覚えられてしまいます。
正確な検査をおこなうため、1年以上は期間を空けるようにしてください。
検査結果がすべてではない
どの知能検査にもいえることですが、IQが低いからといって、お子さんの能力を低いと断じているわけではありません。
お母さん、お父さんが思う、お子さんの優れているところは何も変わりません。
検査結果はあくまで、これからお子さんをどのように伸ばしていくか、支援のし方の参考程度に見てください。
まとめ
田中ビネー式検査の特徴は以下です。
・あらゆる側面から、知能を総合的に判定する
・同年齢の平均から、知能を測定する
・2歳~成人まで対象
子どもの中での平均のIQを測定するので、お子さんの優れている点や特性について、くわしくはわかりません。
また、検査結果からは、これからお子さんをどのように支援していくかを考えましょう。
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参考文献:
「田中ビネー知能検査開発の歴史」
https://www.ritsumeihuman.com/uploads/publication/ningen_06/093-112nakamura.pdf
本郷一夫編 有斐閣選書 「子どもの理解と支援のための発達アセスメント」
厚生労働省 「発達障害支援とアセスメントに関するガイドライン」
http://www.as-japan.jp/j/file/rinji/assessment_guideline2013.pdf
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