お子さんがなかなか勉強しようとしない。
ある教科はすごく良いのに、ほかの教科はまったくできない。
もしかしたら、単なる得意・不得意ではないかもしれませんよ。
勉強法が合っていなかったり、本人の特性が影響している可能性もあります。
では、もっと勉強したいと思ってもらうにはどうしたらよいのか、どんな勉強法が合っているのかを知る方法はないのでしょうか。
「K-ABC-Ⅱ検査」という発達検査があります。
K-ABC-Ⅱ検査の概要や、検査結果のとらえ方などを解説します。
KABC-Ⅱ検査とは?
アメリカのカウフマン博士夫妻が、発達障害や学習のつまずきが見られる子どもに向けて作成し、1983年に発表した知能検査です。
2004年に改訂され、今はKABC-Ⅱ検査となっています。
日本では遅れて、1993年にKABC-Ⅱ検査を翻訳・普及させます。
2013年には、アメリカ版KABC-Ⅱ検査をすべて取り入れるのではなく、日本版のKABC-Ⅱ検査が丸善から刊行されました。
大きく分けると、「認知処理」と「習得度」の2つから知能を測定します。
認知度は新しいことを覚えたり、対応したり、情報を処理する能力。
習得度は読みや書き、どこまで学習しているか、学力をあらわします。
KABC-Ⅱ検査は、2歳6か月~18歳11か月までの子どもを検査の対象としています。
KABC-Ⅱ検査の特徴は?
これから、日本版K-ABC-Ⅱ検査の特徴を解説します。
教育・指導に直接的な働きかけができる
たとえば、習熟度と認知処理の能力のあいだに、大きな差があると、その教育や指導は合っていないことになります。
また、認知処理も習熟度も、さらに細かい検査項目があるため(後述)、子どもが勉強のどこでつまずいているかがわかります。
さらに、画像を見て覚えるのが得意、1つのことを聞いて自分で考えていくのが得意なのか。
こどもの得意な認知処理を知ることで、どのような教育・指導が子どもに合っているかがわかるという特徴があります。
発達障害のアセスメントに有効
KABC-Ⅱ検査は、とくに、発達障害によく見られる凸凹とした知能を深く理解するに適しています。
特性にあった支援、指導の具体的な方法を知るのに有効です。
また、認知処理と習熟度のあいだに、まれに見るほどの差があると、学習障害が疑われます。
知的障害とちがって、読みや書き、計算など1つの能力だけに大きな障害をもっていることを「学習障害」といいます。
知的障害や本人の努力不足と誤解をあたえることが多い障害です。
習熟度では、読み、書き、計算など詳細に測定するため、子どもが、どこに学習障害があるのかをハッキリさせることができます。
具体的なアセスメントは?
認知処理の検査に約40分~60分、習熟度の検査に約30~50分、別々に、臨床心理士など専門家とおこないます。
前述したように、認知処理や習熟度には細かく、下位検査があります。
認知処理は、継次尺度、同時尺度、学習尺度、計画尺度。
1.継次尺度…連続した刺激を1つずつ順番に処理する力。
複数の音声や動作を聞こえた順番に真似ることができるかを見る。
2.同時尺度…見た情報をまとめて全体として見る力。イラストや図を一目見て理解できるかどうかを見る。
3.学習尺度…見たり聞いたりした情報を学習していく力。
学習の定着度や、長期記憶の働きも見ることができる・
4.計画尺度…課題を解決するために適切な方法の選択、実行ができているか。パターンの整理や、物語を完成させられるかなど見る。
習熟度には、語彙、読み、書き、算数の検査項目があります。
- 語彙尺度…語彙に関する知識がどのぐらいあるか。
- 読み尺度…文字の読みや読解力。
- 書き尺度…文字の書きや作文力。
- 算数尺度…足す引くの計算や文章問題を解く力。
2つの検査から、平均を100として、100以上または100以下の点数かどうかで発達水準を判定します。
そして、どの部分の点数が高いか低いかによって、子どもの強み・弱みを把握したり、それにあわせた支援・指導をおこなっていきます。
KABC-Ⅱ検査の結果のとらえかたは?
「認知処理」と「習熟度」の差を考える
習熟度より認知処理が高いとき、かなり極端な場合は学習障害、そのほかは学習意欲を高める勉強法や学習しやすい環境を整えたりしなければいけません。
では、認知処理より習熟度が高いと「良い」のでしょうか。
その場合、子どもがムリをして勉強している可能性が指摘されます。
ほかの子についていこうと必死に勉強している。
または合っていない勉強法を時間でカバーしている。
知能や体力にも限界はあるため、もっとよい勉強法を見直す必要があります。
項目ごとの点数から勉強法の見直しをする
認知処理にある「同時尺度」が高い場合、言葉で細かいことを先に覚えさせていく勉強よりも、まず全体像を伝えてから、そのなかを細かく解説するほうが頭に入ります。
また、視覚情報を覚えやすいので、図やイラストが多く載った教材をつかうと学習がすすむでしょう。
「継次尺度」が高いときは、細かいことから先に教える勉強法が合っています。
また、「計画尺度」が低い子には、勉強計画を立てるのを手伝ったり、「学習尺度」が弱い子には復習の時間を増やしたりします。
結果から、お子さんに合った効果的な勉強法を見つけましょう。
まとめ
KABC-Ⅱ検査は、子どもの学習のつまずきを改善することを目的につくられました。
検査では、子どもの学習にたいする特性や、子どもに合った指導・教育がわかります。
お子さんの学習指導に悩んでいるなら、KABC-Ⅱ検査をおこなうことをおすすめします。
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