【ウェクスラー式知能検査とは】特徴やわかることを具体的に解説します。

お子さんの得意なことや不得意なことを理解できていますか?

ある程度は理解しているけど、少し不安という方が多いと思います。

そんなとき、ウェクスラー式知能検査(WISC-Ⅳ)を受けることでお子さんの得意、不得意の原因が明らかになります。

この検査によりお子さんの得意・不得意が数値としてわかると共に知らない方が多い、お子さんが視覚優位か?聴覚優位か?がわかります。

今までどれだけ注意してもわかってもらえないと言った経験があると思いますが、これがなくなります。そして、お子さんが一番理解しやすい伝え方が出来ます。

この記事ではそんな色々なことがわかりすぎてしまう、ウェクスラー式知能検査(WISC-Ⅳ)の特徴やどんな検査をするかなどを解説していきます。

目次

ウェクスラー式知能検査とは?

ビネー式知能検査が普及しはじめた1939年、アメリカの精神科医であるウェクスラーは、当時はじめての成人向け知能検査「ウェクスラー・ベルヴュー式検査」を発表したのが始まりです。

それから、ウェクスラー式知能検査は、5~16歳の児童に向けたWISC、16歳~成人用のWAIS、4歳~7歳用のWIPPSIの3つが出されます。

基本的な特徴は変わりませんが、その後も改訂されていき、今はWISC、WAIS、WIPPSIのⅢやⅣ版が用いられています。

知的発達の変動や個人差がへってきた児童や成人期に最もおこなわれる検査です。

ウェクスラー式知能検査の特徴は?

知能を分けて測定する

ウェクスラー式知能検査の最大の特徴は、知能を分けて測定したことです。

初めは①言語性IQ ②動作性IQ ③全検査IQ、3つに分けられました。

それから改訂されていった結果、さらに、知能の傾向を分析することができるようになっています。

最新のWISC-Ⅳ、WAIS-Ⅳでは、「言語理解」「知覚推理」「作業記憶(ワーキングメモリとも)」「処理速度」4項目のレベルと、総合的に見た「全検査IQ」が測定されます。

偏差IQで判断する

同年齢の大勢の人に検査をしたときの得点分布を想定し、その分布のなかのどのあたりにいるかを判断します。

平均を100として、標準偏差が15点と設定。

ウェクスラー式知能検査のIQの求め方は以下です。

(検査得点-属する年齢集団の予測される平均得点)÷(属する年齢集団の検査得点の標準偏差)×15+100 =偏差IQ

この求め方で計算すると、100±15、つまりIQ85~115のあいだには、その年齢の約68%、IQ70~135のあいだに約95%の人がおさまることになります。

まず130を超える人はなかなかあらわれません。

受験者の情報や検査中の様子も点数の対象となる

ウェクスラー式知能検査は臨床心理士と対面でおこないます。

そのとき、集中力がどのぐらいあるか、そわそわしていないか、緊張や不安をどのぐらい感じていそうかなど様子を見て、検査の点数として加えます。

さらに、発育歴や家庭や学校での様子なども考慮され、総合的に知能を測定します。

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ウェクスラー式知能検査で何がわかるのか?

知能の特性がわかる

自分の脳の得意・不得意な作業がわかります。

ほかの人よりどうしてもできないことがあったり、まったくわからないことがある場合、検査を受けてみると発見があるでしょう。

また、ウェクスラー式知能検査は発達障害を判断するときにもよく使用されています。

上述した4つの検査のうち、1つの結果が抜きんでていて、別の結果が平均以下であったりと、それぞれの知能が凸凹だと発達障害が疑われます。

特性への対策・支援の仕方がわかる

全検査IQは平均より上であっても、「処理速度」が極端に弱いと、言葉を受け止めて理解することに時間がかかり、そのあいだにどんどん話が進んでいきます

会話では、ゆっくり話すといった支援が求められます。

授業では、50分間のあいだに皆と同じぐらいノートをとることができません。すると、学習意欲を失うこともあります。

その際は、黒板を撮ることを許可したり、デジタル教材をつかうなど工夫する必要があります。

このように、特性がわかることで、本人が対策したり、まわりが支援しやすいようになります。

具体的なアセスメントの方法は?

  1. テスト時間は60分~95分。臨床心理士など専門家と対面方式でおこないます。
  2. まず全検査IQの測定。全体的な分析から、細かい分析へと移っていきます。
  3. 言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度それぞれを検査します。
  4. テストによる点数の結果が正しいのか、受験者の背景情報、テスト中の様子をかんがみて、IQや知能の特性が割り出されます。

ウェクスラー式知能検査の注意点は?

検査結果を過信しない

検査結果を受けて、得意だと思っていた能力が低いと判定されることがあります。

しかし、あくまでテストの中での判定であって、生活状況や個人の努力などすべて反映されているわけではありません。

発育歴などではわからないこともありますし、臨床心理士が見た様子が必ずしも正しいとは限りません。

得意だと思っているものは間違っておらず、長年努力してきた成果でもあるかもしれません。

得意だと思って好きでやっていたこと、仕事にしようと目指していたことをあきらめないでください。

検査結果を過信せず、これからも伸ばしていきましょう。

経過観察として再検査する

当時の家庭環境、そのときの調子がテストに反映されることがあります。

一度受けて、能力が低いとされたところが、年が経ってから受けると、点数が変わっていることもあります。

ただ、頻繁に検査すると、検査内容を覚えてしまう可能性があります。

ありのままを測定するために、最低でも1年~2年、期間を空けて再検査することをおすすめします。

まとめ

ウェクスラー式知能検査では知能を分けて測定することで、得意・不得意がわかります。

さらに、同年齢とくらべて、どの位置にいるのかを知ることができます。

まわりとちがってできない、どうしてもわからないことがあると悩んでいるなら、ウェクスラー式知能検査を受けてみてはいかがでしょうか?

また、検査結果はマイナスにとらえず、不得意な部分を補うにはどうしたらいいかを考えしょう。

対策を立てたり、サポートするようにします。

得意だと思っていたことは「得意だ」という認識で大丈夫です。

自信を失わせないようにして、好きなことを伸ばしましょう。

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参考文献:
西東社出版 下山晴彦著 「 面白いほどよくわかる!臨床心理学 」
平凡社 最新心理学事典  「心理学事典」
厚生労働省 「発達障害支援とアセスメントに関するガイドライン」
http://www.as-japan.jp/j/file/rinji/assessment_guideline2013.pdf

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