「もう一般企業では働けないのではないか?」「自分には能力がないのではないか」と思ってしまうことが、たくさんあったでしょう。
もう一度企業に就職しようとしても「同じことを繰り返すのではないか」と身構えてしまうのもしかたありません。
発達障害グレーゾーンの方が、一般企業での挫折から立ち上がる方法や進路をご紹介します。
発達障害グレーゾーンが一般企業で上手くいかない理由
発達障害グレーゾーンがすぐに仕事をやめてしまったり、仕事が長続きしなかったりする理由は大きく2つに分けられます。
①仕事と自分の特性が合っていない
たとえばADHDのように不注意の特性がある人は、注意力や集中力が求められる仕事をするのは困難です。
コミュニケーションや柔軟な対応を求められる営業や窓口の仕事はアスペルガーの特性がある人にはむずかしいでしょう。
努力だけでどうにかなる問題ではありません。
②職場の理解不足・人間関係のトラブル
職場の人間関係が原因となることもあります。
特性のために同僚とトラブルが発生したり、上司に嫌われてしまったりして、仕事がしづらくなり、転職を考えます。
また自閉症傾向のある方は、上司が変わったり、机の配置が変わったりなど、職場環境の変化のストレスでやめてしまうことも少なくありません。
職場の人間関係を改善するためにやっておくべきこと
発達障害と診断されていれば、周囲に自然と障害への配慮をしてもらえますが、グレーゾーンの場合はスムーズにはいきません。
まず職場の人間関係を改善するためにやっておくべきことを確認しましょう。
自分の得意・不得意を報告しておく
自分の特性を話して会社で不利な扱いを受けるのではないか、と不安に思うかもしれません。
しかし、あえて特性を隠した場合、自分の許容以上の仕事を任されて重大なミスを犯したり、人間関係でトラブルを起こしたりする可能性があります。
自身もストレスを強く感じ、たえられなくなって仕事をやめてしまうこともあるでしょう。
それなら、自分の得意・不得意を最初に伝えておき、トラブルを未然に防ぐ方が会社にいられるはずです。
直属の上司や信頼できる同僚には「自分の得意・不得意」を報告しておきましょう。
職場内の交友関係を見直す
人間関係でトラブルが多い場合は、付き合い方を変えてみるのもひとつの手です。
人間関係にストレスを感じていたり、うまくいかないと困っていたりするなら、仕事以外の付き合いはしなくてもよいと考えましょう。
自分のことを理解してくれる上司や同僚との付き合いだけにしたり、職場以外の趣味などが一緒の人とだけ付き合うのもありです。
「会社のみんなに合わせないと」という固定観念を捨てると、余計なストレスがへったり、気持ちに余裕ができたりして、人間関係にも余裕が生まれます。
女性だけの雑談には参加しなくてもよい
自閉特性をもつ女性には、一定のトレーニングをおこなっても、女性たちの会話についていけないことも。
それほど女性同士の会話や人間関係は複雑です。
うまく話そうとしたり、練習したりするだけで大きなストレスとなります。
またそのストレスを女性たちは察することができるので、上手くやろうと思うほど空回ってしまいます。
いっそのこと「女性同士の会話には参加しない」と考えることも必要です。
携帯やメール、ビジネスマナーを覚える
仕事中は携帯をマナーモードにしたり、携帯をいじらないようにしたり、人が話しているときに大声で話さないなど、ビジネスマナー以外にエチケットなどを身につけておきましょう。
忘れ物を防ぐ
いつも忘れ物をしたり、なくしものをしたりしていると、どれだけ人間関係がよい会社でも、仕事を信用してもらえなくなります。
ハンカチや名刺入れなどはデスクに常に予備を入れておいたり、約束事は必ずメモをとって見えるところに貼っておくなど工夫を。
そのほか、人間関係を悪化させたと思う原因を分析し、対策を考えましょう。
就労移行支援事業所を利用する
就労移行支援は、難病や障害がある人が一般企業への就職を目指すときに利用できる、福祉サービスのひとつです。
就職に必要なマナーやスキルを身につけたり、就職後の定着支援をおこなってくれたりします。
そのなかには障害手帳がなくても、医師や自治体の判断で対応してくれるところもあります。
主治医や自治体の福祉窓口に相談してみましょう。
就労移行支援事業所の選び方
①家から通い続けられる距離にあるか
②カリキュラムや訓練内容
③事業所の雰囲気が自分に合っているか
④就労実績を確かめる
以上4つのポイントを見ることが大事です。
就労移行支援は家から通うサービスなので、自宅から30分以内で行けるような場所が望ましいです。
事業所によって訓練内容やカリキュラムがちがうので、自分のやりたいことや、得意なことと合っているか、しっかり確認してください。
事業所の雰囲気も大事です。
とくに通っている人の年齢やスタッフの雰囲気を見ます。
「ここなら安心」「この人になら相談できそう」と思えるところを選び、必ず見学や体験利用をして見極めましょう。
最後に確かめておくべきは、就労実績。
その事業所から実際に就職した人数や職種、企業名のほか、就職したあとの定着率の確認を。
実績がしっかりしているほど、次の就職先に期待できます。
まとめ
発達障害グレーゾーンだと、特性があっても、一般枠でしか就職できないというツラい現状です。
「自分には能力がないのではないか」と思うようなことを経験してきたかもしれませんが、それはその職場が合わなかったのか、自分の特性と仕事が合っていなかったというだけです。
これからより良い会社へ就職できるように、上手くいかなかった理由を分析し、対策を考えたり、支援事業にお願いしたりして、次に進みましょう。
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宮尾益知・監修/河出書房・出版
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