「通信技術を活用したコミュニケーション」を意味するICT。
医療の分野においても大きな役割を果たしています。
最近ニュースでもよく耳にするようになった「オンライン診療」はその一つです。
まだICTに慣れない方は大勢いるものの、若い人たちの間では主流となりつつあります。
今回はそのオンライン診療について「医療にICTを導入する目的」「これからの課題」「障害を抱えておられる方にどんな益があるか」といった3つの点に絞ってご紹介したいと思います。
このICTを医療に導入することで、今後の医療に大きな変化をもたらしてくれます。
医療にICTを導入する目的
医療にICTを活用することで様々なメリットがあり、それは同時に医療自体の大きな改善に繋がります。
特に現在猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン診療を含めたICT医療の導入の声が多くあります。
患者・家族を感染から守る
今回の新型コロナウイルスやインフルエンザや嘔吐下痢、水ぼうそうなど他の人に感染する病気になっている場合、病院などに行くとその他の患者さんに病気をうつしてしまう可能性があります。
そこでオンライン診療を行う事で、患者さん一人一人が自宅から病院にビデオカメラを使ってライブで診察を受け、隔離した状態で診察を終える事が出来るので安心です。
周りの人に感染を広げずに、自宅でゆっくりと療養することが出来るので患者さん本人にとってもメリットと言えます。
職員への感染を防ぐ
もちろん感染が広がるのは、周りの患者さんや家族だけではありません。医療関係の職員にも感染を防ぐ必要があります。
医師や看護師は診察室という密閉した空間の中で感染症の疑いのある患者さんと向き合って、効果的な薬や治療法など話し合い、診察を進めていかなければなりません。
そのようなリスクを出来る限り減らすためにもオンライン診療は職員にも配慮したとても効果的な方法となっています。
医療の質の改善
現在、多くのオンライン診療を行っている病院では「Join」という医療機器プログラムを活用しています。
日本初の保険適用で、コンサルティングや地域の医療連携にも役割を果たしています。
このJoinを使用したオンライン診療を行っている病院では例えば脳卒中患者であれば診断時間を約40分削減することができ、入院日数も15%程削減したという統計も出ているそうです。
このように一人一人の患者さんにかける時間を減らす事で、出来るだけ多くの人に医療が行き届き、満遍なく治療を施すというのが実現するので医療の質の改善にも大きく貢献しています。
資源・時間の有効活用
この資源には人・モノ・お金の3つが含まれています。
オンライン診療にすることで、これらが円滑に用いられ、全てを以前よりもさらに有効活用する事が可能となっています。
時間についても同じことが言えますが、例えばオンライン診療にすることで患者さんはクレジットカードなどのキャッシュレスによるお支払いとなり、窓口や会計機器での手続きなど面倒な作業が一切なくなりました。
忙しい人でも診察のために時間を買い取れるようになり、早期発見早期治療に役立っています。
オンライン診療の課題
現在オンライン診療で一番懸念されているのが、オンライン診療の妨げになっているとも言われている「診療報酬」です。
オンラインで診察する場合、患者さんは普段通り安く保険のもとで診察を受ける事が可能ですが、職員は処方箋料しか報酬として受け取ることが出来ず、オンライン診療を実施してしまうと医師の報酬が少なくなってしまうのです。
まさに、費用対効果の点であまりメリットを感じられず、オンライン診療を行っていない病院も数多くあります。
また、ビデオ会話なので誤診も懸念されている課題の一つです。実際の目で見る患者さんの状態と、ビデオにうつっている患者さんの状態とでは、やはり違いがありビデオだと分かりにくい部分も出てきます。
医療のICT活用は障害者にとっても大きなメリット
障害を抱えておられる方の中には定期的に病院に通院する必要がある方がおられるかもしれません。
でも、忙しい毎日の中でわざわざ病院の時間を取り分けるのは面倒くさいと感じることもありますよね。
なかなか外出ができないケースの方もいらっしゃるかと思います。
オンライン診療は24時間いつでも自分の好きな時間を予約することができ、待ち時間も気にせず予約時間になったらビデオを繋げるだけで診察が完了します。
普段待ち時間に1時間2時間と取られていた方にとっては、本当に大きな違いですよね。
また、どこにいてもインターネット環境があれば診察を受けられるので、もちろん仕事やお出かけの途中でも大丈夫です。
障害を抱えておられる方は、「なるべく人と会いたくない・・・」「外出するのも一苦労」という方もおられると思います。
そのような方にとってもオンライン診療は大きな助けとなります。
診察を受けた後、処方される薬は自宅に宅配便にて送られてくるので一歩も外へ出ずに病院を終わらせることが出来ます。
※初回の診療は必ず対面する必要があり、その後も6ヶ月に1回や3ヶ月に1回などは対面診察が必要となりますのでご注意ください。
もちろんこうしたICTの活用は医療だけではなく障害者雇用などの就職にも大きな変化をもたらします。
まとめ
医療分野に導入されているICT事例「オンライン診療」。
医療に導入する事で、患者さんがより安心して診察を受けられるようになり、病院の待ち時間や障害者の外出の大変さなども解消される画期的なものとなっています。
まだまだ課題もあるオンライン診療ですが、これからさらに問題を減らしていって多くの患者さんが利用するようになれば、障害者の通院や忙しい毎日を送っておられる多くの方にとって大変役立つものとなるでしょう。