VRによる障害者支援プロジェクト 不可能を可能に変えるVRの取り組みとは?

VRはバーチャル・リアリティーの略で、「表面的には本物ではないが、本質的には現実」という意味が含まれています。

VRと聞いてあなたは何を思い浮かべますか?

ゲームや映画の世界、絶景の観光スポットを見たりすることが出来るVRゴーグルが一番有名で分かりやすいかもしれません。

周りから見ると、「ただゴーグルをつけている人」に見えますが、ゴーグルを着用している本人からするとVRによる全く違った光景を目にしていて、あたかもその映像の中に入り込んだかのように感じています。

とても不思議ですね。

実はこのVR、障害者の支援アイテムとしてもとても活躍しているのです!

今回は障害者に関係するどんなVR機器が発明されているのかいくつかご紹介したいと思います!

目次

視覚障害者のためのVR支援~芸術作品に触れる~

生まれつき目が見えない方や、なんらかの視覚障害を抱えている方は世界で約2億1700万人ほどいると言われています。

美術館に行くと、ゴッホやミケランジェロなど芸術分野で大きな実績を残してきた数多くの芸術家の作品が並んでいます。

そうした作品は出来栄えだけでなく、作品から見る人に伝えたい深い情報が含まれている場合も少なくありません。

しかし、視覚障害者はこのような芸術作品を今まで見たくても見る事が出来ませんでした。

VRは芸術作品に触れたいと願う視覚障害者のために、手袋を着用して手を動かすだけで作品の形や雰囲気が分かるVR手袋を開発しました。

実際に作品に触れているわけではありませんが、レーザーによって作品の実物をスキャンし、3D のバーチャル空間を作り出して手で触るだけで形が分かるようになっているのです。

このVRを使用した手袋は触れてみることの出来る3D写真や、目が不自由な水泳選手にどこでターンをしたらよいか知らせるVR帽子などの活用も可能になっています。

聴覚障害者のためのVR支援~舞台を楽しむ~

耳が全く聞こえない聴覚障害者は劇場の舞台で繰り広げられるショーを楽しむ事が出来ません。

なぜならショーには音楽や登場人物のセリフがつきもので、聴覚障害者にとっては舞台で「今どんな場面なのか」「話が盛り上がっているのか悲しい場面なのか」といったことが読み取りにくいからです。

こうした問題を踏まえてVRを活用した聴覚障害者が皆と同じように舞台を楽しめるようVRヘッドフォンが開発されました。

これはヘッドフォンとスマートフォンを連携させることで舞台上の俳優や女優が発した言葉を瞬時に言葉にし、字幕をリアルタイム見る事が出来るようになっています。

このプロジェクトがさらに発展して世界中の人に使われるようになると、これまで聴覚障害ゆえに舞台で演劇を楽しむ事を控えていた多くの人が、レクリエーションの幅が広がり、舞台を家族や友人と楽しめるようになります。

障害者もエンターテインメントを選んで、周りの人と一緒に全ての娯楽を遊べるようになると良いですね!

体の不自由な方へのVR支援~就労~

もちろんVRは障害者がエンターテインメントを楽しめるためだけに用いられているわけではありません。

障害者の雇用を支援し、仕事のスキルを身に着けるのにも大きく役立っています。

出産の援助をする仕事を行いたいという方のために、出産シミュレーターが開発され、よりリアルなトレーニングをVR内でおこなうことが可能になっています。

VRであれば滅多に起こらない緊急事態も再現する事が出来、仕事を始めて緊急事態に直面しても焦らずにVRで学んだことを活かす事が出来ます。

発達障害者向けのVR~ソーシャルスキルトレーニング~

発達障害の方の社会性を鍛える方法として「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」といわれる少人数でのグループワークやロールプレイがあるのですが、それがVRでできるようなプログラムがあります。

株式会社JOLLY GOOD(ジョリーグッド)が提供する「Emou(エモウ)」というプログラムでは、医師が監修した日常の学校生活や就労、面接の場面などがVRで映し出され、受け答えをしながら社会性を身に着けていくという最新の療育プログラムです。

これを使用することで人手がなくてもソーシャルスキルトレーニングをおこなうことができ、慣れた人同士でおこなうよりも現実に近い緊張感が味わえます。

「Emou(エモウ)」に関する内容は下記の関連リンクからお願い致します。

また、当サイトでもVRのソーシャルスキルトレーニングについての体験談もありますので、参考にしていただけたら嬉しいです。

障害者の生活を体験するVRも!?

実はVRは障害者の支援アイテムとしてだけでなく、健常者が障害者の生活の大変さを理解して、新しいアイデアを生み出すための「VR 発達障害」も話題になっています。

例えば、定型発達障害の場合は一度に色んな音が聞こえてくると、耐えられないほど大きな音のように感じてしまいパニックになってしまいます。

VRでは発達障害者特有の音の聞こえ方を再現し、コンテンツとして体験できるようになっています。

また視覚過敏の方の目の見え方を再現したVRや認知症の人の感じ方を再現したVR、自閉症を抱える人の状況を体験できるVRなど健常者が障害者の不安や症状を理解するのに役立つアイテムがたくさん開発されています。

身近な人に障害を抱える人がいるならば、こうした体験を通してより障害者の状況を理解し、どのように接したらよいのか学べるでしょう。

まとめ

今回は障害者向けのVR支援アイテムについていくつかご紹介する事が出来ました。

実際にはないものでも、VRを使えばより実物に近い形で再現する事が出来、障害者が今まで抱えている障害によって困難であった仕事やレクリエーションなどを楽しめるようになります。

健常者が障害者の大変さを理解するために、障害者の目の見え方や聞こえ方を再現できるVRが開発されているのも本当に素晴らしい取り組みですね!

VRは今まで不可能と思えてきたことを乗り越えて、日々新しいアイデアを生み出しています。

これからのVRのさらなる新しい開発も楽しみにしたいと思います。

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