【人事担当者必見】基礎知識1 障害者雇用をする時の法律や制度をご紹介

この記事では、会社の代表者様や人事担当者様に「障害者雇用をしたいけど何について学べばいいかわからない」という悩みを解決します。

結論は「障害者雇用に関係する法律や制度を学ぶこと」です。

障害者雇用は法律や制度に基づいて成り立っているため、これを理解することが障害者雇用を理解することに直結します。

今回は企業の障害者雇用担当者の方や経営者の方向けに障害者雇用の基礎知識として「障害者雇用に関する法律や制度」について解説していきます。

また障害者雇用で働きたいという方も障害者雇用についての基礎的な記事になりますので、参考にしていただければと思います。

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目次

障害者雇用とは

障害者雇用とは、事業主や自治体等が、障害者のために一般雇用とは別に特別な雇用枠を設けて採用をおこなうことです。

障害のある人は、障害のない人と同じように就職しようとしても不利になってしまう場合が多くあります。

障害の有無にかかわらず、誰もが希望を持って、自立して働くことができるような社会づくりのために、障害者の雇用に関する様々な施策が導入されています。

ここでは、障害者雇用に関する法律や制度について解説します。

障害者雇用促進法

障害者雇用について定めている「障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)」は1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」が基となっており、現行のものは2019年に改正され、2020年4月に施行されたものです。

この法律は障害者の職業の安定を図ることを目的として制定され、障害者と健常者がお互いに尊重し、共生する社会を実現する「ノーマライゼーション」という考え方が理念としてあります。

法定雇用率

まず、障害者雇用促進法が定める「障害者雇用率制度(法定雇用率)」によって、事業主は一定の割合の障害者を雇用することが義務付けられています。

法律が制定された当初は努力義務にすぎませんでしたが、1976年の改正によって法的義務へと改められました。

この改正によって、事業主は定められた割合の障害者を採用することが義務付けられました。

現在の法定雇用率は、民間企業では2.2%(労働者45.5人に対して一人)、国や地方自治体では2.5%、都道府県などの教育委員会では2.4%となっています。

割合はこれまでも段階的に引き上げられてきており、2021年3月までに、それぞれ2.3%、2.6%、2.5%に引き上げられることとなっています。

なお、従業員45.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者雇用状況を、所定の報告用紙をもってハローワークに報告することが義務付けられています。

納付金制度

次に、「障害者雇用納付金制度」とは、障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担を調整することを目的とする納付金で、雇用率が未達成の企業は、企業規模に応じて障害者雇用の不足一人あたり月額4~5万円を国庫に支払うことととなっています。

これは罰則ではなく、あくまでも負担を調整する趣旨で徴収される納付金です。

反対に、法定雇用率を達成している事業主(常用労働者100人超)に対しては、超過一人あたり月額2万7千円が支給されます。

なお、この納付金制度には、障害者を雇うために必要な施設や介助者の手配のための助成金制度も含まれます。

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障害者雇用の対象者

制定された当初は、法律の名前にもあるとおり身体障害者のみが対象となっていましたが、1997年には知的障害者が含まれ、2018年からは発達障害を含む精神障害者も含まれるようになりました。

障害者雇用率制度上は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者が対象となります。

したがって、障害者手帳を持たない障害者は、法定雇用率上の算定対象外となる点に注意が必要です。

一方、障害者雇用に関する助成金に関しては、手帳を持たない統合失調者、躁鬱病(躁病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となるため、制度上の「障害者」の定義は文脈によって異なります。

障害者に対する差別の禁止と配慮の提供

2013年の障害者雇用促進法改正には、障害者に対する差別を禁止する内容が盛り込まれました。

また、事業者は、障害者が働くにあたっての支障の改善をおこなう義務(合理的配慮をおこなう義務)が課せられることとなっています。

具体的には、窓口の設置といった障害者が相談できるような体制の整備や、障害者からの苦情に対して自主的に解決する努力義務といったことをおこなう必要があります。

障害者雇用が不十分な場合の措置

障害者雇用の水準を達成できない場合にはどのような措置が取られるのでしょうか。

企業の障害者雇用状況が一定水準に至らない場合、まずは前述のとおり納付金が徴収されます。

また、厚生労働大臣から「障害者雇入れ計画」の作成命令が発せられたり、この計画の実施に関する勧告がおこなわれたりすることとなっています。

さらに、この勧告に従わない場合には企業名が公表される制度もあります。

企業名が公表されることで社会的な信頼を失うことになってしまいます。

事業主向けの支援策

障害者雇用をおこなう事業者を対象とした支援策も様々なものがあり、詳細については厚生労働省HP等で公開されています。

ハローワークでは、事業者が障害者を雇用する上でおこなうべき配慮等についてアドバイスをしたり、助成金についての説明をおこなったりするとともに、事業主側と求職者側が参加できる就職面接会の開催などもおこなわれています。

地域障害者職業センター、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、障害者の雇用管理についての専門的なアドバイスや援助をおこなっています。

障害者就業・生活支援センターでは、事業主からの相談も受け付けており、企業訪問による支援もおこなわれています。

なお、障害者を雇用する企業には税制上の優遇措置が適用される等の支援もあります。

まとめ

ここでは障害者雇用に関する法律・制度について解説しました。

企業の担当者の方や経営者の方の中には、障害者雇用について十分な知識を得られていない、あるいは最新の情報を得られていない方や、雇用する義務があることがあることは理解しているものの、具体的な課題が出てきたときにどこに相談すればよいのかについて情報がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事がそのような方の参考になれば幸いです。

参考サイト


障害者雇用対策 ー厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html

障害者雇用率制度 ー厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaisha/04.html

事業主の方へ  障害者雇用のルールー厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

障害者雇用のご案内 ~共に働くを当たり前に~ ー厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000615860.pdf

「障害者雇用促進法」ってどんな法律? ーatGP
https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c831/

障害者雇用の法律・制度を解説!押さえるべきルールとは? ーChallenge Lab
https://challenge.persol-group.co.jp/lab/fundamental/fundamental/fundamental002/
https://jinjibu.jp/keyword/detl/62/

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