企業や自治体等は、身体障害、知的障害、精神障害を持つ人に対して一般雇用とは別の特別な雇用枠を設け、障害者雇用促進法で定められた法定雇用率に基づいて雇用することが義務付けられています。
民間企業の法定雇用率は2.2%(労働者45.5人に1人)です。
別の記事で、厚生労働省が毎年発表している障害者雇用の現状に関する調査結果をご紹介しました。
その数字を見る限り、日本における障害者雇用は徐々に進展してきているといえるでしょう。
しかし、法定雇用率を達成できている企業は半数以下ですので、まだまだこれから障害者雇用が進展することが期待されています。
ここでは、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業と都道府県のランキングをご紹介します。
障害者雇用率企業ランキング
第1位 ゼネラルパートナーズ(20.92%)
第2位 エフピコ(13.78%)
第3位 エイベックス(7.09%)
第4位 キトー(6.92%)
第5位 ファーストリテイリング(5.62%)
第6位 シーエックスカーゴ(5.39%)
第7位 LITALICO(4.85%)
第8位 良品計画(4.73%)
第9位 ワタミ(4.65%)
第10位 ダイジェット工業(4.56%)
東洋経済新報社は2019年に『「障害者の雇用率」が高い上位100社ランキング』を公表しています(データは2017年のもののため、少し前のものになります。)。
ここでは上位10位をご紹介します。下記リストの括弧内は雇用率を示しています。
20%以上の雇用率でダントツ第1位のゼネラルパートナーズは障害者に特化した就職・転職サービスを行っている企業で、従業員数89人のうち48人の障害者を雇用しているとのことです。
同社は障害者に特化した事業を行っているため、障害者雇用が進んでいるのは納得の結果ではありますが、一般的になじみのある企業も上位にランクインしています。
例えばエイベックス、ファーストリテイリング、良品計画、ワタミと言った、誰もが聞いたことがある企業も障害者雇用に積極的なのです。
第2位のエフピコは食品容器の製造を行う業界シェア一位の一部上場企業で、337人という多くの障害者を雇用しています。
第3位のエイベックスはエンターテインメント企業として名前がよく知られていますが、現場アシスタントや事務職に障害者を積極的に採用しているとのことです。
第4位のキトーは老舗の機械メーカーで、「障害者雇用マスタープラン」を5年ごとに作成しています。
第5位のファーストリテイリングはユニクロやGUを展開する誰もが知る企業ですが、917人の障害者を雇用しています。
原則的に一店舗一人以上の障害者雇用を目標としています。第6位のシーエックスカーゴは、ジョブコーチの配置など、障害者受け入れの体制が整っており、134人の障害者を雇用しています。
第7位のLITALICOは障害者就労支援を含む社会福祉事業を行っている企業で、障害者にとっても働きやすい環境が整っていると考えられます。
第8位の良品計画は、無印良品でよく知られる企業で、395人の障害者を雇用しており、サポート体制も整っています。
第9位のワタミは居酒屋の和民でよく知られる企業ですが、店舗での清掃、仕込み、事務補助等で障害者を雇用しています。
法定雇用率を上回っている企業も多くありますので、義務を守るだけでなく、企業としても障害者雇用を推進することは何らかのメリットがあるのだということもおわかりいただけるのではないかと思います(障害者雇用のメリットについては過去の記事をご参照ください。)。
そのメリットの一つに、障害者雇用を進めている企業としてこのように公表されることで、社会的に貢献している企業として認知されることになるということがあります。
働きたいと考える障害者が増えることはもちろんのことですが、宣伝効果もありますし、障害者やその家族や関係者がその企業の商品やサービスを利用することも大いに期待されます。
障害者雇用率都道府県別ランキング
(平成30年 厚生労働省の調査結果より)
第1位 沖縄 2.73%
第2位 奈良 2,67%
第3位 山口 2.58%
第4位 佐賀 2.55%
第5位 岡山 2.52%
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第43位 栃木 2.00%
第44位 山梨 1.99%
第45位 愛知 1.97%
第46位 香川 1.95%
第47位 東京 1.94%
都道府県別にみると、沖縄が最も雇用率が高く、東京が最も低くなっています。
ここではすべてのリストは割愛していますが、全体の傾向として、関東周辺はその他都市での雇用率は低く、地方の方が進んでいることが明らかになっています。
まとめ
障害者雇用を積極的に進めている企業が多くあることがご理解いただけたのではないでしょうか。
社会福祉系の企業だけでなく、一般の企業や誰もが知る企業も障害者雇用に取り組んでいます。
今後、こうした企業の具体的な事例もご紹介していく予定です。
障害者雇用に携わる企業の皆様には、是非参考にしていただきたいと思います。