【データで見る】障害者雇用の現状を知ることでわかったこれからの課題!

身体障害、知的障害、精神障害等を持つ人は、一般雇用とは別の特別な雇用枠で企業や自治体に就職することが可能になっています。

企業や自治体等は、障害者雇用促進法によって一定の割合の障害者を雇用することが義務付けられており、これを法定雇用率と呼びます。

ここでは、日本の民間企業における障害者雇用の現状について解説します。

目次

法定雇用率

民間企業の法定雇用率は2.2%で、これは労働者45.5人に対して一人の割合となります。

国や地方自治体では2.5%、都道府県などの教育委員会では2.4%となっています。

民間企業に比べて公的機関の方が高い雇用率を義務付けられています。

この割合は、2021年3月までにそれぞれ2.3%、2.6%、2.5%に引き上げられることとなっています。

制度の詳細については厚生労働省のHPや過去の記事をご覧いただければ幸いです。

障害者雇用状況の調査結果

(1)総論

厚生労働省は、毎年6月1日時点での障害者雇用の状況を調査し、公表しています。

最新の調査結果は昨年2019年度のもので、その調査結果によれば、民間企業における雇用者数と雇用率は過去最高を更新しました。

具体的には、雇用障害者数は約5万人で前年比4.8%上昇し、法定雇用率達成企業の割合は48%で前年比2.1ポイント上昇しました。

実雇用率は2.11%で、前年比0.06ポイント上昇し、微増となっています。

実雇用率が法定雇用率の2.2%を若干下回り、達成している企業が48%という数字をどう考えるかは様々な意見があるかと思いますが、いずれの数字も前年比で上昇していることを見ると、日本における障害者雇用は徐々に進んできていると言えます。

前年比のみだけでなく過去の推移を見ても、進展する傾向にあります。

(2)障害種別

障害種別に見ると、雇用された障害者のうち、身体障害者は前年比2.3%増、知的障害者は同6%増、精神障害者は同15.9%増で、精神障碍者の伸び率が特に大きい結果となっています。

発達障害を含む精神障害者が障害者雇用の対象となったのは2018年からとかなり最近のことですが、精神障害者の雇用も進んできているようです。

一方で、実数で見ると身体障害者が約35万人、知的障害者が約12万人、精神障害者が約7.8万人ですので、精神障害者の雇用も今後進んでいくことが期待されます。

(3)企業規模別

企業規模ごとに見てみると、障害者の雇用数は以下のとおりとなっています。

45.5人~100人未満  約5.6万人

100~300人未満    約11万人

300~500人未満    約5万人

500~1000人未満   約6.5万人

1000人以上       約27万人

企業ごとの実雇用率は以下のとおりとなっています。

45.5人~100人未満   1.71%

100~300人未満     1.97%

300~500人未満     1.98%

500~1000人未満    2.05%

1000人以上        2.31%

企業規模ごとの法定雇用率達成企業の割合は以下のとおりとなっています。

45.5人~100人未満   45.5%

100~300人未満     52.1%

300~500人未満     43・9%

500~1000人未満    43.9%

1000人以上        54.6%

実雇用率を見ると、規模が大きくなればなるほど上昇するという傾向が見られます。

その背景には、規模の小さい企業の方が設備やサポート体制を整えることが難しい状況があるのではないかと考えられます。

一方、多少のばらつきはあるものの、いずれの企業規模でも約半数の達成率となっており、規模にかかわらず一定の達成率が得られていることは評価されるべきと言えるでしょう。

障害者雇用進展の背景

ここまでのデータで、日本における障害者雇用が徐々に進んできていることをご理解いただけたかと思います。

その背景には、人手不足といった様々な理由がありますが、その一つに障害者権利条約の採択があります。

障害者権利条約は、「障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者固有の尊厳の尊重を促進すること」を目的とした国際条約です。

この条約は2006年12月に国連総会において採択され、2008年5月に発効しました。

日本は2007年9月に同条約に署名し、2014年1月に批准書を寄託し、同年2月に日本に対して効力が発生しました。

この条約の批准に先立って、国内の法整備も進んできました。こうした国際的な進展に伴って、日本国内の障害者雇用も進展してきたのです。

まとめ

 本稿では障害者雇用の現状についての調査結果をまとめました。

障害者雇用については日本でも徐々に進展してきていると言えると思いますが、数字だけでは明らかにならない現場での課題は山積していると思います。

実際に障害者雇用に携わる方の課題に応えるとともに、雇用される障害者の方にとっても意義のある社会づくりのため、今後、具体的な先進事例や海外の状況についてもご紹介していきたいと考えています。

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