【障害者雇用の取り組み】ユニクロの株式会社ファーストリテイリング 

この記事は、現在障害者雇用の採用担当だけれども、なかなか障害者雇用がうまくいかない、という方に向けて障害者雇用に対する企業の成功実例をご紹介します。

企業や自治体等は、身体障害、知的障害、精神障害を持つ障害者に対して、通常の雇用枠とは別に障害者雇用として雇用することが義務付けられています。

現在の法定雇用率は民間企業の場合は2.2%(労働者45.5人に1人)です。

別の記事で、日本の障害者雇用の現状と、障害者雇用を積極的に進めている企業のランキングをご紹介しました。

現在、日本の障害者の実雇用率の平均は2.11%で、法定雇用率の2.2%を下回っています。

一方で、法定雇用率を上回って雇用している企業も多くあり、障害者雇用に関しては企業によって差が大きく出ているというのが現状かと思われます。

今後、より多くの企業が障害者雇用を進められることが求められています。

今回は、皆さんがユニクロやGU等のブランドでよくご存じの企業、ファーストリテイリングの例をご紹介します。

目次

障害者雇用企業ランキングの上位に

以前の記事でご紹介したとおり、東洋経済新報社が2019年に公表した『「障害者雇用率」が高い上位100社ランキング』(データは2017年のもの)では、ファーストリテイリングは第5位で、障害者雇用の実雇用率が5.62%となっていました。

これは法定雇用率の2.2%を上回っています。

従業員数一万人以上の企業に限れば、同社は障害者雇用率日本一になっていました。

なぜファーストリテイリングは障害者雇用に積極的なのでしょうか。

ファーストリテイリングの取組

同社は2001年から障害者を「一店舗一人以上」、大型店舗では2名以上雇用することを目標にしています。

現在、国内の約9割の店舗で1000人以上の障害のあるスタッフが働いており、障害者と健常者が垣根なく、できるだけ長く働ける環境を提供したい、としています。

障害者雇用を進める目的は、障害のあるスタッフと働くことによって顧客サービスを向上させることであり、実際に、障害のあるスタッフとのコミュニケーションを通じて、健常者もきめ細やかな配慮をすることを学び、それがサービスの向上に活かされているようです。

また、障害のある方の自立支援を支えることによって社会貢献することも目的の一つとしています。

なお、国内だけでなく海外の店舗にも展開していくことを目指しています。

障害者雇用に関するファーストリテイリングの歩み

1999年度までは、同社は法定雇用率をクリアしていたものの、積極的に取り組んでいたわけではありませんでした。

しかし2000年度に、店舗数の急増とそれに伴う従業員の増加によって、障害者を増やさなければ法定雇用率を守れない見込みとなったのです。

そこで同社は、企業は利益を得るだけではなく、社会に還元しなければならないという考えのもと、また、国際的に競争力の高い企業になるために、障害者雇用を積極的に進める方針に舵を切りました。

2001年の時点では実雇用率が1.27%で、法定雇用率を下回っていましたが、2001年の3月から本格的に取り組みを進め、その後障害者雇用率が上昇しました。

これは2010年時点の情報ではありますが、重度、軽度の知的障害者が6割を超えていて、身体障害者も多く働いていましたが、精神障害者の雇用は11%に留まっていました。

これから10年が経っていますので状況は変わっているかもしれませんが、精神障害者の雇用というのは課題の一つなのかもしれません。

障害者を雇用したことによるサービスの向上

実際に障害者を雇用した店舗ではどのような効果があったのでしょうか。

例えば、聴覚障害者を雇用したことによって、困っているスタッフがいたら皆でカバーするというチームワークの意識が広がったり、顧客の表情を読む力が養われ、必要なサービスを提供できるようになったりしたといいます。

同社は、社会に貢献することを目的の一つとしているものの、障害者雇用は「福祉」ではなく「事業活動」の一環としてとらえています。

障害者雇用を推進するために

では、障害者雇用を進めるにあたって具体的に何をおこなっているのでしょうか。

同社が障害者雇用を進める上で重要だと考えていることは、

①経営のコミットメント

②店舗の実行力

③店舗の環境・職域

④社会とのかかわり

であるといいます。

具体的に、まず一つ目は、経営者が障害者雇用を推進するという意思を表明して全社的に進めています。

二つ目は、お店がその意思に従ってきちんと実行していくということです。

障害者を含めて採用は店長が全ておこなうので、店長が責任を持って採用して育成していくという中に障害者が加わったということにすぎないとのことです。

三つ目は、通勤、食事、トイレといった日常生活は自身でできる方を採用していて、顧客のための改装はするものの、障害者を雇用するための店舗の改修はおこなわないといいます。

障害のあるスタッフの職種としては、いわゆるバックヤードの仕事がメインです。

適材適所を徹底することによって、障害のあるスタッフも活き活きと働くことができるようです。

しかし、裏方の仕事でモチベーションが低下しないように、店長がうまく動機付けをすることが必要になってきます。

例えば、あなたの仕事は単純作業かもしれないけれど、その仕事をきちんとやっているおかげでお客様の満足につながっている、という動機付けをしていくといったようなことです。

四つ目は、職業安定所や地域の障害者職業センターと密に連携し、トライアル雇用といった支援制度も十分に活用することで、成功事例を作っていったとのことです。

それ以外にも、店長や社員向けの障害者雇用の研修の実施や、バリアフリーな店舗づくりに力を入れています。

雇用形態

一般的にはパート社員と呼ばれる形態で雇用していますが、社内では「準社員」と呼んでおり、原則は週30時間とし、働いた時間や実績に応じて時給で給与が支払われる形態となっています。

給与や半年ごとの契約更新といった雇用形態は健常者の準社員と同じ条件となっています。

まとめ

今回は、障害者雇用を積極的に進めていることで知られているファーストリテイリングの事例をご紹介しました。

ここ20年ほどかけて、同社は障害者雇用を推進してきました。

ここでは成功事例としてご紹介していますが、試行錯誤をしながら様々な困難を乗り越えてきたのだと思います。

時間はかかるかもしれませんが、確実にサービスの向上に貢献して、そして社会にも還元していくという同社の取組は評価に値するもので、今後も多くの企業がこうした取組を、福祉としてだけでなく事業活動の一環として着実に推進していくことに期待しています。

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