生活していく上で人とのコミュニケーションはとても大切なスキルですよね。
小学校高学年あたりになると、仲間意識などから友達とのやり取りが増えるようになってきて、社会性が求められるようになってきます。
多くの人は学校や職場などで自然と人とのコミュニケーションのを学んでいくと思います。
しかし、精神や発達に障害のある方はそういったスキルを自然と身に着けていくのが難しい傾向にあります。
そういった方のコミュニケーションスキルを育む方法として「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」と呼ばれる訓練があります。
このソーシャルスキルトレーニングを受けることで基本的なコミュニケーション方法や自他の感情理解なども学ぶことができ、「社会性の育み」ができます。
ソーシャルスキルトレーニングとは
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、社会(ソーシャル)で生活していく上での必要最低限の対人技能(スキル)の訓練(トレーニング)のことです。
具体的には日常で想定される場面をロールプレイやグループワークなどを通して対人コミュニケーションの練習をします。
それによって、実際の場面でうまくいったときに、自己肯定感が高まり、対人技能が身についていきます。
精神障害や発達障害の人など、コミュニケーションにお困りごとがある方に対して非常に効果があり、精神科の病院をはじめ、学校や放課後等デイサービスなどの療育現場など様々なところで取り入れられています。
たとえば、社会で人と関わるときに生じる挨拶、人に何かをお願いしたり断ったりするなどのコミュニケーションから、それに伴い毎日歯を磨く・決まった時間に薬を飲むなどの日常生活を営む上での生活スキルもテーマにすることがあります。
どんな時にためになるの?
ソーシャルスキルトレーニングは、普段の学校生活などの他、社会に出て働き始めてからも人と接する機会が多くなることがありますので、学校や職場などすべての状況で役立ちます。
特に小学校高学年あたりになると、友達とのやり取りや仲間意識などが多くなり、それに伴い社会性が必要になる場面がたくさん増えてきます。
・友だちを遊びに誘いたい
・友だちにお礼を言いたい
・嫌がることをされたのでやめてほしい
・友だちと喧嘩をしなうように過ごしたい
・誘いをを上手に断りたい
・飲み会を途中で抜けて帰りたい
・分からないところを迷惑にならないように質問したい
・会議で自分の意見を伝えたい
ソーシャルスキルトレーニングは上手に頼みごとをしたり話しかけるタイミングを計ったりなどのほか、相手の話に耳を傾けたり上手に断ったりと自分の意思表示や相手を傷つけないコミュニケーション方法などを習得することができます。
他にもアンガーマネジメント(怒りのコントロール)などの情緒面の訓練や人との距離感などのコミュニケーションの手前にあたることなど、社会生活のいかなる方面からも対応できるようにトレーニングをします。
また、職場での対人技能トレーニングとして「ジョブスキルトレーニング(JST)」というものもあります。
ソーシャルスキルトレーニングはどこでやっているの?
SSTのニーズは幅広く、もともとは精神科の病院等で、認知行動療法として取り入れられていましたが、近年では職場や学校、発達障害の療育として放課後等デイサービスなどさまざまなところで取り入れられています。
特に障害福祉の観点において、通常の発達の人の場合、ソーシャルスキルの多くは他者とのかかわりを通じて自然的に身につけられていくものですが、学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラム障害などの発達障害や、知的障害、協調運動障害がある場合などは、ソーシャルスキルをスムーズに身につけられないケースがあるため、障害者福祉施設では積極的に取り入れられています。
また医療的観点から、大人の発達障害や精神疾患のある方に対してはSSTが用いられることがあり、統合失調症とADHDの治療に採用されることがあります。
どんな実施者がソーシャルスキルトレーニングを行うの?
ソーシャルスキルトレーニングを行う人はSST認定講師と言われる講師や、心理の専門家、SST普及協会が行う講座等で専門的にソーシャルスキルトレーニング学んだ職員など様々です。
その中のSST認定講師とは、一般社団法人SST普及協会が認定する講師のことで、医師や心理士、PSWといわれる精神保健福祉士/精神科ソーシャルワーカーを含んでいます。
また、最近ではVR(仮想空間)で行われるソーシャルスキルトレーニングも存在します。
VRSSTのプログラム監修は専門の医師が行っているため専門的なスタッフがいない場合でも効果的に行うことが出来ます。
どういった形でやるの?
ソーシャルスキルトレーニングの中には様々な実践方法があります。
例えば生活シーンにおける課題をいい例・悪い例でそれぞれ実施者・参加者共にロールプレイをすることや、ゲームを取り入れてルールの認知や感情コントロール、参加者同士の協力をすることによって楽しく社会性を身につけられるような形式があります。
もちろん課題に沿ったグループでの議論や講義形式もあり、手法は実施者によってさまざまです。
まとめ
最近では、オンライン化やAIの導入等で技術革新により、社会でのコミュニケーション方法は日々変化しつつあります。
そのため以前よりソーシャルスキルを求められることは少なくなった様になったようにも見えますが、まだまだ社会生活をする上での基礎となってくるのは間違いないです。
精神障害や発達障害などに関係なく、社会生活を送るにあたって上で対人技能を高めていく必要があります。
そのためソーシャルスキルトレーニングは障害がある方通所施設や就労施設などのさまざまな支援の現場で幅広く活用されています。
もちろん障害の有無に関わらず、医療や教育の現場、精神科デイケアの治療や一般企業の研修などにもこの技法が広く活用されることが期待されています。
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