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【具体的提案】発達障害者のための環境作り方法を3つの実例から学ぶ!

この記事は、発達障害のお子さんの問題行動で悩んでいる保護者や支援者の方に向けて、お子さんの環境づくりによる問題行動解決の3つの事例を紹介します。

急に部屋を飛び出してしまったり、泣きわめくなどパニックを起こしたりするのも「環境」がひとつの要因です。

発達障害をもつ人はまわりから状況を読み取ることがむずかしかったり、少しの刺激を強烈に感じたりします。

そんな特性をもつ人たちが、スムーズに過ごすためには環境づくりが欠かせません。

環境づくりの基本や実例などを見て、その人に合った環境を整えましょう。

目次

環境づくりの基本

環境づくりで大切なことは「構造化」です。

自閉症スペクトラム障害や知的障害があると、まわりの状況がわからず、自分は何をすればいいのかという不安におそわれます。

そのため、いつ・どこで・何を・どうやってするのか「5W1H」が目に見えてわかるようなかたちにします。

①ここは何をする場所なのか

自閉症スペクトラムの特性をもつ人は、「リビングで学習」というスタイルが理解できません。

ここは「ご飯を食べる場所」ここは「勉強をする場所」というように、明確に分かれていないと混乱してしまいます。

勉強する場所には勉強に関するものだけを置き、扉や仕切りをつかって、ご飯を食べる場所との境界をわかりやすくする必要があります。

そのほか、机を仕切りで囲んで、机の上の作業だけに集中させるというのもひとつの方法です。

②いつ何をするのか

先の見通しを立てることがむずかしく、活動できない人もいます。

その場合は今どのような活動をするべきか、次は何をするべきかを目に見えてわかりやすくします。

その役立ちツールが「スケジュール」です。

「いつ何をするのか」をわかりやすくするだけでなく、見通しを立てることで、簡単に移動できたり、行動に柔軟性をもたせられる効果があります。

スケジュールの作成はそれぞれの成長段階や好みにあわせましょう。

知的に高く、文字や単語がわかる人には、文字でスケジュールを書く。

そして、その活動が終わったら、TO DO リストのようにチェックを入れさせる。

文字が読めない場合は、絵や写真をつかってスケジュールを作成する。

上から下に向けて時間の流れを見るほうがわかりやすいか、左から右へと見るのがわかりやすいかも人それぞれ。

活動に関する具体的な物を渡すことで、次に何をするのかが理解できる人もいます。

スケジュールの長さもそれぞれちがいます。

最初から1日のスケジュールを理解できる人もいれば、半日のスケジュール、最初とその次、または移動のみということも。

スケジュールを立てるときは、特性や好みをよく知り、その人に合った方法にすることが大切です。

③どの活動をして、いつ終わるのか

・そこで何をするのか


・どれぐらいの量の活動をするのか


・それはいつ終わるのか

・終わったら、その後は何をするのか

以上のように、しなければいけない作業や活動を目に見えてわかりやすくするのを「活動の構造化」といいます。

たとえば、机の上にしなければいけない作業を左から右に並べます。一番右には箱を置いておきます。

左から順に作業していって、終わったものを箱にいれていきます。このことから、一番右に置かれた箱は「フィニッシュボックス」といわれます。

机の上の物がなくなったら作業終了です。

箱に入れた「自分が終わらせたもの」を見ることができるので、終わりを強く意識すること、自分が作業を終わらせたという達成感を得ることにもつながります。

お子さんの家での学習にも役立ちますよ。

環境づくりの実例3つ

環境を整えたことで「問題行動がへった」「スムーズに動けるようになった」「作業に集中できるようになった」実例を3つご紹介します。

Case1.行動停止や反復などがあったAくん

Aくんは簡単な言語指示や文章を理解できましたが、ときどき行動停止や、手をかんでしまう行為が見られました。

AくんにTTAPやWAIS-Ⅲなどをおこなった結果、以下の特性がわかりました。

・言語指示よりも、イラストカードのほうが理解できる

・実物のほうがもっと理解しやすい

・パターンを覚えるのが得意

そこで、Aくんの作業項目を1つずつ書いたマグネットシートを小さなホワイトボードに貼り付けました。

作業が終わったら、そのシートをポケットにしまいます。

残り何をすればいいのかが明確になって、小走りで作業をするAくんが見られるようになりました。

またアイロンがけの作業では、手もとに注意することがむずかしかったので、アイロンがけをするスペースをパーテーションで囲むように仕切りました。

余計な刺激がへって、作業に集中できるようになりました。

Case2.教室を飛び出すことが多いSくん

Sくんは教室を飛び出してしまうことがよくありました。

そこで、活動場所の写真と、場所の説明を簡単に書いたカードを、上から下に並べたスケジュールを作成。

①Sくんはカードをもって活動場所に移動する

②活動場所には、同じ写真や文字が表面に印刷された封筒が設置されている

③Sくんは同じ写真のカードを封筒に入れる

するとSくんは毎朝スケジュールを確認して、カードをもち、落ち着いて1人で行動できるようになりました。

Case3.指示待ち行動が強かったKさん

Kさんは決まった行動なら1人でできることは多いけれど、指示がないと行動しないことが多くありました。

さらに声がけが増えると不安定になり、自傷や他害が生じることもあります。

TTAPによって、Kさんは

・指示が理解できれば一定の活動ができる

・活動の構造化やごほうびが必要

ということがわかりました。

スケジュールやフィニッシュボックスをつかって、仕事内容・仕事量・始めと終わりを明確にします。

すべての作業が終わったあとは好きなビデオを見ることができるようにしました。

導入当初は教師からの声がけが必要でしたが、作業の流れを理解すると、1人ですすめられるようになりました。

また教師からの声がけがへったことで、情緒が安定してさらに活動を続けられるという良い変化も見られました。

まとめ

環境づくりは「5W1H」をわかりやすく、目に見えるようなかたちにすることです。

また感覚過敏や、外の刺激に反応しやすい人にはパーテーションで仕切ったり、ツールの素材を選んだりします。

その人をよく分析し、その人に合った環境に近づけることが最も大事です。

環境を整えると、問題行動がへったり、本人やまわりも生活しやすくなったりします。

家でも、日常動作を絵カードで説明したり、フィニッシュボックスなどを用意したり工夫できます。

家族が生活しやすいように環境を整えましょう。

参考書籍

自閉症スペクトラムのための環境づくり

事例から学ぶ構造化ガイドブック (梅永雄二 監修・著)

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