社会福祉協議会は、すべての人が安心して過ごすことができる共生社会を目指して活動する、非営利の民間団体です。
また、社会福祉法や障害者総合支援法にしたがって活動をおこなっており、半公的な機関ともいえます。
社会福祉協議会は、全国社会福祉協議会1団体からどんどん派生していき、各都道府県に「都道府県社会福祉協議会」が設立されました。
さらに細かく、「市区町村福祉協議会」も立ったり、ほかの支援団体を束ねたりしています。
基本的な方針は全国社会福祉協議会に委ねられていますが、私たちが実際に受ける社会福祉は、各都道府県や市区町村の社会福祉協議会、支援団体がおこなっている事業となります。
今回は、社会福祉協議会の基本方針と事業より、障害福祉の役割を解説します。大まかに、4つの役割にまとめました。
①障害者の地域理解をすすめる
2015年、全国社会福祉協議会は「差別解消啓発パンフレット」を作成しました。
そして、全国の社会福祉協議会でパンフレットを活用した講座を住民へ開いて、障害者の理解と、正しい知識を周知する活動をおこないました。
2018年には地域住民にたいして、障害者への理解をすすめ、知識をつけてもらうのを目的に「地域での支えあいに関する研究委員会」を発足しています。
地域住民へ障害者に関する正しい情報を公表したり、地域との支えあいについて研究結果を発表するなど、障害者が地域と協力して生きやすくなるための役割を担っています。
②障害者の人権を守る役割
障害者の虐待や、命を脅かすひどい事件が問題になりましたね。
全国社会福祉協議会も動いて、「障害の虐待防止に関する検討委員会」を設置し、障害の虐待防止に関する手引きをとりまとめました。
さらに、虐待を根絶するために、第三者評価による福祉施設の審査をすすめたり、リーダー的職員に向けて職員研修をおこなうよう徹底しています。
このように障害者の人権を守る取り組みにも、非常に力を入れています。
③障害者に必要な情報を提供する
全国社会福祉協議会HPには、障害者を対象としたサービスの紹介、相談機関、地域支援機関、自立支援医療など幅広く解説したパンフレットを掲載しています。
厚生労働省が発表した情報を、すべての人がわかりやすく見られるよう、資料を作成します。
そのほか、全国社会福祉協議会の一部である、「障害関係団体連絡協議会」という団体があります。
障害当事者や家族を中心とした20の団体で構成された協議会です。
障害関係団体連絡協議会は設立から毎年、障害者の目線に立った研究を発表しています。
たとえば、以下のような研究結果を発表しています。
①障害者の所得保障(平成18~19年)
②裁判員制度への参画(平成20年)
③消費者被害の防止(平成21年)
④地域生活支援(平成22~23年)
⑤災害時の障害者避難等に関する研究(平成24~25年)
⑥障害者の高齢化に関する課題検討(平成26~27年)
⑦地域での支え合い(平成30年~令和元年)
これらを、全国社会福祉協議会HPに掲載します。
さらに、テーマによって、社会保障審議会 障害者部会や、厚生労働省、内閣府、全国の司法機関に送ります。
そして、障害者の意見の提出を助けたり、地域社会で対応が必要な情報を啓発しています。
④障害者の生活を支援する
各都道府県・市区町村の社会福祉協議会では、障害者の社会参加、就労支援をする事業や、仲間づくりを目的に「精神障害者の交流事業」をおこなうところもあります。
または、日常生活での困りごとを相談する「障害者相談支援事業」を開いたり、福祉サービスへの苦情や相談を受け付け、中立的な立場から、サービス事業者へ注意喚起をおこなって適切な事業運営を進めています。
さらに、日常生活の自立支援や、経済的に苦しい人にたいして生活福祉資金を低利で貸付するサービスなど。
お金の出し入れを手伝う「金銭管理サービス」、預金通帳や保障証書など大切な書類を預かる「書類預かりサービス」までおこなっている市もあり、地域の成年後見制度の支援センターでは社会福祉協議会が運営しているところもあります。
お住まいの社会福祉協議会HPを調べてみましょう。
まとめ
社会福祉協議会の障害福祉における役割はつぎのようになります。
①障害者の地域理解をすすめる
②障害者の人権を守る
③障害者に必要な情報を提供する
④障害者の生活を支援する
とくに、社会福祉協議会が目指しているのは、障害にかかわらず、すべての人が「ともに豊かに生きる地域社会」です。
この方針に沿って、障害者の人権を守ったり、障害の理解をすすめたり、正しい知識を周知しようと積極的に取り組んでいます。
また、私たちが受けられる市区町村の社会福祉協議会では、基本方針にしたがったものだけではなく、地域の特性を活かした支援事業も見られます。
お住まいの市区町村・社会福祉協議会のHPを調べてみましょう。