近年、オリンピックの2022年アジア大会の正式種目として認定され注目を集めている「eスポーツ」。
他のスポーツに比べて障害や年齢によるハンディが少ないため、障害のある方から高齢者の方まで参加でき、だれとでも対等に競える公平性の高いスポーツとして人口も徐々に増えつつあります。
eスポーツってなに?
eスポーツはエレクトロニックスポーツといわれ広義には電子機器を用いて行う娯楽やスポーツの事を指しますが一般的にはコンピューターゲームを使用した対戦によるスポーツ競技です。
一見スポーツでないように思えますがアメリカや中国や韓国などでは非常に盛んで、スポーツとして認められており「プロゲーマー」がスポーツ選手としての扱いを受けています。
競技人口は日本で390万人と野球やサッカーに比べて半数ほどですが世界全体でみると1億人以上とかなり大規模な市場になります。
eスポーツと障害の関係性
eスポーツは誰でも参加しやすく公平性があるという点から最近では障害を持った人たちから注目されつつあります。
・移動による制限がない
・体力、年齢、性別の差がない
・コミュニケーションが取りやすい
障害のある方の社会参加を後押しする可能性があるのではないかと言われており国内でもリハビリ施設での使用やプロを育成するための養成所などもあります。
eスポーツ導入の取り組み事例
北海道にある国立病院機構八雲病院
北海道にある心身に重い障害を持った人たちがいる国立病院機構八雲病院の作業療法室にはモニターがあり患者さんたちが治療の息抜きとしてeスポーツに熱中している姿が見られます。
この病院では治療やリハビリへの精神的な励みになる娯楽としてだけではなく病院外の人とも対戦やコミュニケーションができる社会参加の手段の一つとしてeスポーツが取り入れられています。
ここでは病院独自にコントローラーのボタンやジョイスティックをその人その人に合わせて改良したデバイスを作成し身体が不自由でもeスポーツを楽しめるように工夫がされていて健常者と変わらないようなプレイをしています。
群馬県の通所型施設
群馬県にある就労継続支援B型や生活介護を運営している事業所でも、日本で初めて障害を持っているプレーヤーを対象に未来のトッププレーヤーを輩出するための無料の養成所を設立しました。
これはプロのプレーヤーから直接専門的な個別指導を受け、いずれプロとして世界に進出できるような仕組みです。
実際にプロになって活躍することが出来れば、将来的な収入や人間関係を含めた社会的地位を手にすることができ、障害のある人の自立や将来への可能性が広がります。
こうした障害を持っている人とeスポーツの関係性に影響されてゲーム業界の企業も障害のあるプレーヤーのサポートなどをはじめ、
ソフトウェアの問題点などを探り一人でも多くのプレーヤーに楽しんでもらえるような体制づくりをし業界全体としての底上げにも貢献しています。
また日本でも障害を持った方向けのeスポーツの大会が多く開催されており中には大会の様子を企業にアピールし障害者雇用に繋げるようなものもあります。
まとめ
eスポーツのように、合理的配慮があれば障害の有無にかかわらず社会で活躍することができたり、自分の個性を尊重しながら社会生活をしたりすることができます。
近年ではYouTube等でも障害のある人が活躍していますが、身近なメディアやツールを利用して人種や性別、障害の有無に関係なくいろいろな人と関わることが出来る時代なのです。
eスポーツを通して健常者の人たちと対等に競い合ったりコミュニケーションをとったり、またはそれがきっかけの雇用やアイデンティティの方法など、
単なる娯楽としてだけではなく、社会参加の手段として注目を集めていることから、今後eスポーツは障害のある人とそうでない人を繋ぐ大きな架け橋になっていくと思われます。