カッとなると衝動を抑えることがむずかしい。

アスペルガーのため、ルールを破られると腹が立ってしょうがない。

どうしようもないほどの強い怒りにも、アンガーマネジメントは有効なのでしょうか。

誰でもカッとしますし、どんな人でもカッとしてしまうような、あまりに理不尽な出来事もありますよね。

そのような中で、怒りをコントロールして後悔をしない方法を教えるのが、アンガーマネジメントです。

すべての人に有効でしょう。

怒りで悩む人ほど見てほしい、アンガーマネジメントについてお知らせします。

怒りのピーク6秒をやり過ごす方法

まず「反射的に怒らないこと」が大切です。

反射的に怒りをあらわすと、自分も相手もヒートアップしますよね。

余計なことを言った…と後悔する場面もたくさんあったでしょう。

そのため、6秒待つことです。

怒りがピークに達するのは長くて「6秒」とされているからです。

6秒を静かに耐えれば、怒りは自然とおさまっていきます。

では、この6秒間、耐えるにはどうしたらよいでしょうか。

ゆっくり深呼吸をする

3秒吸って3秒吐くことを意識してください。

怒りが込みげるとき、息がつまります。

脳に酸素が回らなくなり、余計にイライラしやすくなります。

ゆっくり深呼吸をしましょう。

脳に酸素が回り、自然と6秒が経ち、少し落ち着いて状況を見られます。

目の前のモノを観察する

怒りに集中しそうになったら、目の前のモノを観察しましょう。

ボールペンを握っていたら、「ボールペン古くなった」「赤、緑、黒の三色が出る」とよく見て。

花が飾ってあれば、「花の枚数は7枚?」「花の色は○○」など。

視覚から得られる情報はたくさんあり、頭の中を情報でいっぱいにできます。

とくに、発達障害のある人は視覚から情報を得ることに長けているので、より有効な方法です。

自分の状態を実況中継する

たとえば、足の裏に神経を集中して「地面は冷たい」「少し足が痛いようだ」。

または、怒りのあまりギュッと手を握りしめたら、「手をにぎりしめているようだ」「手に爪が当たっているようだ」と実況します。

そして6秒が経つ。

自分が置かれている立場を客観的に見ることができ、冷静になることができます。

これは過去のことを思い出して腹が立ったときにも有効です。

「過去」ではなく「今」の状況に集中し、落ち着くことができます。

イメージして意識をそらす

真っ白な紙、カーテン、黒、緑、なんでもよいです。

「一色の具体的なモノ」を思い浮かべましょう。

具体的なモノで頭の中をいっぱいにすると、怒った出来事から意識をそらすことができます。

ゴミ箱をイメージするのもよいです。

イラっとしたことを頭の中で握りつぶし、ゴミ箱にポイっとします。思いのほか、心が軽くなりますよ。

イライラしやすくならないためには?

つぎに、「なんでもイライラしがち」と悩む人へ、普段から怒りをコントロールする方法をお伝えします。

自分の怒りを知ろう

自分がいつ、どこで、何に何でどのぐらい怒ったのか、ひとつひとつ覚えていますか?

怒ったことは覚えているけれど、細かく説明してほしいといわれると、むずかしいですよね。

何に自分が怒るのか、はっきりわかっていないと対処しようがありません。客観的に見ることもできません。

自分の怒りを知るために、怒りを記録しましょう。

■怒りを記録する「アンガーログ」

・怒ったあと、すぐにメモ帳やスマホアプリに書き留める(家に持ち帰ってからではなく、その場や、トイレなど少し場所を移動して)

 

①日時

②場所

③出来事

④思ったこと

⑤相手にしてほしいこと

⑥自分の言動

⑦結果

⑧怒りの強さ

計8項目をメモします。
(怒りの強さは10段階で設定します。)

・心が不安定なときは読み返さない。

1週間ぐらい空けて、客観的に考えられるほど落ち着いているときに見てください。

自分がどのような場所で、どのようなことに怒っていたのかを知り、その状況を避けるように動いたり、怒る状況にならないために自分は何をすればいいのかを考えることができます。

また、ものすごく怒っていたことが、10段階で表すと、「あれ、○○のときよりも怒っていないんだ」と驚くことも。

怒りの特徴を知ることができ、「なんにでもイライラしがち」という自己嫌悪が解消されるでしょう。

幸せなことを記録する

幸せだったことは確かにあるはずなのに、怒りを思い出してしまうことが多いですよね。

発達障害があると、幸せよりも、怒りや負の感情にとらわれやすい傾向があります。

怒りや負の感情がずっとあると、「どうして自分ばっかり」「自分は怒られてばかりのダメなやつだ」と後ろ向きになり、イライラしやすくなります。

そのため、小さなことでもいいので、幸せだったことをメモしましょう。

「○○だと褒められた」「今日の朝食おいしかった」ぐらいでもいい。

メモを見返せば、ちゃんと幸せなこともあるんだと前向きに考えられます。

思い出しイライラに悩まされたときも、幸せメモを見返せば、考えないようにできますよ。

あなたの良いところに気づくこともできて、自信を身につけられるステキな方法です。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受ける

こうしたアンガーマネジメントを習得する方法としてコミュニケーションなどの社会性を学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)があります。

ソーシャルスキルトレーニングは就労移行支援や放課後等デイサービスなどの福祉サービスの事業所でもおこなわれています。

発達障害障害の子どものコミュ力を鍛える!

発達障害障害のお子さんのコミュニケーションスキルを鍛える方法として、「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」という対人技能訓練があります。

複数人のグループでロールプレイなどをして社会性を学び、それをもとに日常生活で成功体験を作り、社会性を身に付けていくものです。

こうしたスキルトレーニングは放課後等デイサービスや就労移行支援事業所でおこなわれていますので、お住いの地域の事業所で実施しているか確認してみるといいかもしれません。

放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室でも、VRを使ったソーシャルスキルトレーニングや面接練習、アンガーマネジメントなど、お子さんの対人スキルの獲得に力を入れています。

詳しくは下記にリンクよりご確認ください。

Polaris(ポラリス)教室 療育プログラム

まとめ

アンガーマネジメントは、怒りをコントロールして、怒ったことに後悔をしない方法です。

6秒間、自分なりに気をそらせる方法を見つけて耐えます。

最初からできる人はいませんので、失敗を繰り返しながら、身につくまでおこないましょう。

そして、怒りが落ち着いたら、自分が何で怒っているのかを静かに伝えてください。

相手を責めるのではなく、「私は○○が嫌で、○○と思って、怒ってしまったんだ」と伝えると、相手も理解してくれ、対応しやすくなります。

普段のちょっとした努力も大切ですね。

自分の怒りの特徴を知るようにしたり、幸せだったことを記録して思い返します。

怒りをコントロールして、自分自身もまわりの環境も変えていきましょう。