障害者雇用とは、企業や自治体等が、障害者のために一般雇用とは別に特別な雇用枠を設けて採用をおこなうことです。
企業や自治体等は法律によって一定の割合の障害者を雇用することが義務付けられており、その制度や法律について、また、障害者を雇用することのメリットについては別の記事で紹介しました。
ここでは、障害者雇用に関する助成金についてご紹介します。
それぞれ詳細な条件がありますので、受給にあたっては厚生労働省の各助成金についてのHPをご確認ください。
助成金の対象
別の記事でご紹介したとおり、障害者雇用の法定雇用率を満たすには、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を有している障害者の雇用が条件となります。
しかし、助成金を受け取るためには、必ずしもこの範囲に限定されないケースもありますので注意が必要です(詳細は厚生労働省のHP参照)。
障害者雇用に関する助成金
ここで紹介する助成金には、
1.障害者を雇用した場合の助成金
2.施設や設備の整備をおこなった場合の助成金
3.職業能力開発をおこなった場合の助成金、
4.職場定着のための措置を行った場合の助成金、
5.短時間労働者に関する助成金(特例給付金)の五つがあります。
一つ一つ簡単に見ていきましょう。
1.障害者を雇用した場合
障害者を雇用した場合に受けられる助成金には、
(1)特定求職者雇用開発助成金
(2)トライアル雇用助成金
(3)障害者雇用安定助成金
の三つがあります。
中小企業のみを対象とした助成金もあり、また、障害者を継続して雇用するか、あるいは試行的に雇用するかによって得られる助成金が異なります。
(1)特定求職者雇用開発助成金
この助成金は、障害者等を継続して雇用する場合に得られる助成金です。
中小企業での障害者雇用を促進するため、初めて障害者を雇用する中小企業のみを対象とした助成金も含まれます。
ハローワーク等の紹介により高年齢者や障害者等を継続して雇用する場合に助成されるものです。
障害の重度、労働時間、企業規模によって一人あたり30万円~240万円が支給されます。
ハローワーク等の紹介により発達障害者や難治性疾患患者を継続して雇用する場合に助成されるものです。
労働時間、企業規模によって一人あたり30万円~120万円が支給されます。
中小企業の障害者雇用を促進するためのもので、障害者を雇用した経験のない中小企業が障害者を初めて雇用し、法定雇用率を達成できる場合に得られる助成金です。
条件を満たせば、120万円が支給されます。
(2)トライアル雇用助成金
本助成金は、継続的にではなく試行的に障害者を雇用する場合に得られる助成金です。
障害者を試行的に雇用した場合、または週20時間以上の勤務が難しい精神障害者や発達障害者が20時間以上勤務できるようにするために試行的に雇用する場合に受けられる助成金です。
ハローワーク等の紹介により、一定期間雇用することで、障害者が早く就職できるようにし、雇用機会を作ることを目的としたものです。
障害の種類により対象者一人あたり月額最大8万円(最長3~6か月まで)が支給されます。
(3)障害者雇用安定助成金
職場に適応することが難しい障害を持つ方もいます。
そのような方を援助する「ジョブコーチ」による支援をおこなう事業者に対して支給される助成金です。
職場への適応や定着に課題がある障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施する事業者に支給される助成金です。
障害の種類や労働時間によって、一人あたり月額3万円~12万円が支給されます。
〇障害者雇用安定助成金(中小企業障害者多数雇用施設設置等コース)※中小企業対象
中小企業での障害者の雇用促進を図ることを目的とし、中小企業が障害者を5人以上雇用し、施設や設備の整備を行う事業者に対する助成金です。
雇用する障害者の人数と設備等に要した費用の金額によって最大2,160万円が支給されるものです。
2.施設や設備のメンテナンス等をおこなった場合
3.職業能力開発をおこなった場合
4.障害者の職場定着のための措置をおこなった場合
5.特例給付金
2020年4月から新たに開始された「特例給付金制度」は、障害者雇用納付金ではカバーされていなかった、短時間であれば就労できる障害者等の雇用機会を確保するために、週10時間以上20時間未満で雇用されている障害者の数に応じて支給される給付金です。
企業規模によって対象者一人あたり月額5000~7000円の助成金が支給されます。
なお、本給付金の対象となる障害者は法定雇用率の算出には含めることができない点に注意が必要です。
まとめ
少々複雑ではありますが、障害者雇用を促進することを目的に、様々な種類の助成金があることがおわかりいただけたかと思います。
特に、中小企業でまだ障害者雇用をおこなったことがない企業の方には、障害者初回雇用コース、トライアル雇用助成金等を活用して障害者雇用を進めていただきたいと思います。
また、既に障害者雇用を行っている企業の方においても、ここで紹介した助成金を活用しながら、一層障害者雇用を促進していただきたいと思います。
障害者雇用を進めようとする企業の皆さんのご参考になれば幸いです。