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言語聴覚士(ST)の発達障害の人への支援

子どもの発音がおかしく、何度注意しても治らなかったり、会話ができていなかったり、まったく話さなかったりするととても心配ですね。

話せるようにしてあげたいですし、とにかく生活しやすくしてあげたいですね。

そんなとき、話す障害にたいしてのプロがいます。

「言語聴覚士(Speech Therapist)」という仕事を聞いたことはありますか?

この記事で、くわしく見ていきましょう。

目次

言語聴覚士とは?

言語聴覚士とは、「話す・聞く・食べる」などの問題にたいして、原因や対処法を明らかにし、トレーニングや指導をおこなうスペシャリストを指します。

子どもの言葉の発達や、事故や病気によって話せなくなった方、高齢になって食事を飲みこむのが大変になった方など、子どもから高齢者まで幅広くサポートしています。

発声をうながしたり、声帯から唇までを十分に動かす訓練、言葉を十分に理解し、使いこなす訓練。

聴覚障害の方へは、補聴器や人工内耳の調整。

食べたもの飲み込めるようにするトレーニング。

コミュニケーションの障害も全般的にサポートし、記憶力や注意力など、脳の機能訓練もおこないます。

2018年の調査では、言語聴覚士の資格をもっている人は、全国に約3万人ほど。

その約7割は小児科など医療機関に勤め、3割は介護、放課後等デイサービスなどの障害者施設、特別支援学校や、大学院で研究に従事する人もいます。

発達障害の子どもにたいして、言語聴覚士が支援することは?

とくに発達障害の子にたいしては以下の障害をサポートすることが多いです。

・発達障害の子どもに多く見られる、話すことができない、理解することができないなど言葉の障害。

・うまく発音できない、言葉がつまるといった構音障害。

・記憶力や注意力がないために、オウム返しをしたり、まったく関係ない言葉を返すといったコミュニケーションの障害。

・読む、書くなど学習障害。

具体的にどのような訓練・指導をする?

このような障害にたいして、どのような訓練や指導をおこなうのでしょうか。

構音障害をともなっている場合

舌を出したり、引っ込めたりする口やあごの運動をします。

そのほか、たとえば「カ行」の発音を練習するとき、うがいなど「カ行」に近い口の動きをさせてから、練習動作をうながすという工夫をとりいれているところもあります。

言葉に障害がある場合

精神的な問題で言葉が話せないときや、言葉の発達が遅れているとき、まず自然と自分から言葉を話したくなるような雰囲気づくりを心がけたり、遊びをとりいれて言葉の表出をうながします。

言葉を理解できておらず、話すことができない子には、言葉の理解をうながす訓練をします。

たとえば、おままごとをしながら、会話のやりとりを練習し、ジェスチャーや、言葉の使い方、表現力を育てます。

また、イラストカードの中から言語聴覚士が言ったものを指差ししてもらったり、言語聴覚士が出したイラストのカードの意味を、一文字ずつ書かれたカードから選んで答えさせる方法もあります。

言語聴覚士が「りんご」のイラストカードを掲示した場合、一文字だけ書かれたカードの中から「り」「ん」「ご」を選んでもらうというものです。

さらに、コマ漫画を見てもらって、状況を説明してもらうなど、発達の程度に合わせた支援をおこないます。

言葉を理解できていないと読み書きにも支障があらわれるので、読む練習、書く練習を一緒におこなうときもあります。

脳の機能に障害があるとき

注意力や記憶力に障害がある場合、迷路やパズルなどしたり、ワーキングメモリを鍛えたりします。

改善に限界があるときは、メモをとるなど普段の生活でできる工夫を教えます。

家族や学校などにも働きかけて、まわりが支援しやすくなるよう助言・指導します。

また、空気を読むことができない、暗黙のルールがわからない子には、暗黙のルールをゲーム感覚で教えて身につけさせるソーシャルスキルトレーニング(SST)をおこないます。

言語聴覚士による支援の流れは?

このような言語聴覚士による検査・サポート・助言、すべてを「言語聴覚療法」といいます。

その流れをご説明します。

① 検査・評価

3才児健診や小児科、療育現場などで、医師の判断のもと、「言語聴覚士」を紹介されます。

または、通級の「ことば教室」や特別支援学校などに、言語聴覚士が在籍している場合があります。

まずは言語聴覚士との「導入面接」をおこない、おおよその障害、治療方法を判断します。

検査したり、行動を観察したりして、問題やそのメカニズムを調べます。

さらに、治療の精度を上げるため、成育歴、医学的な診断や処置、日常・社会生活はどのように過ごしているかなど情報を集めます。

② 訓練・指導

言葉をうながしたり、障害を軽減させたり、または日常を過ごしやすくするための工夫のし方を患者が習得できるよう、その人にあった言語聴覚療法のプログラムを作成・実行します。

家族や友達、職場などにも、患者の障害について理解をうながします。

接し方や注意点など、患者が生活しやすくなるように、助言や指導をおこないます。

③ 訓練・指導の効果を測定する

訓練や指導で、どのような効果が得られたかを客観的な検査などを使って測定します。

効果が見られない場合は、ほかの医療とも連携して原因を考え、訓練や指導の方向性を修正します。

目的は完全に機能を回復することではなく、あくまで改善・軽減であったり、本人やまわりに環境や日々の工夫を教えたりして、お子さんが生活しやすくなることです。

まとめ

言語聴覚士による発達障害への支援をまとめました。

①言葉の表出、表現力や理解力を育てる

②ワーキングメモリを鍛えるなど脳機能のトレーニングをする

③暗黙のルールを教えるSSTをおこなったり、生活しやすくするための工夫を教える

④家族や友達、学校などにも助言・指導して、環境を整える

言語聴覚士は国家資格であり、こういった支援のスペシャリストです。

子どもの療育を受けたいとき、放課後等デイサービスなどの施設に言語聴覚士が在籍しているか確認してみてはいかがでしょうか。

参考文献:
ヴィットインターナショナル企画室 (編集)   ほるぷ出版   「リハビリにかかわる仕事」

WILLこども知育研究所 保育社出版 「言語聴覚士の一日」

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