障害のあるお子さんの親亡き後の生活について考えられたことがある方は多いかと思います。

親がいる間は親が身の回りの管理をすることができていますが、親亡き後は自分で生活していかなければなりません。

ヘルパーさんに身の回りのことをお願いすることはできても、お金の管理や契約ごとはなかなかお任せできないですよね。

しかし、親が亡き後でも自身の財産の管理や契約ごとは必ずついて回ります。

管理する能力が不足していたり、正常な判断をすることが難しかったりする場合は振り込め詐欺や悪徳商法などの消費者トラブルに巻き込まれてしまう可能性も少なくありません。

しかし、そんな時は「成年後見制度」を利用することができます。

この制度を利用することで、お子さんの財産管理や身の回りの契約ごとを信頼できる第三者にお願いすることができます。

制度としてまだまだ認知の少ない成年後見制度ですが、自立生活を送る上では財産を守る重要な制度になります。

この記事ではそんな親亡き後の生活をサポートする成年後見制度がどのような制度か、また申請のやり方とかかる費用を解説していきます。

現在、障害のあるお子さんがいらっしゃる方で、将来のお子さんの自立に心配のある方は参考になると思います。

成年後見制度とは

成年後見人制度とは、認知症や知的障害、精神障害によって正しい判断能力が十分でない人の財産管理や身上監護を依頼された第三者が「成年後見人」として受請け負う制度です。

制度を利用する人の原則として「判断能力がない部分を補う」という観点から、判断能力のある身体障害の方は基本的に利用ができません。

どんな人がやるの?

成年後見を依頼された人は成年後見人と呼ばれ、成年後見人になる人は家庭裁判所から選ばれた人がなります。

基本的には親族が後見人になる「親族後見人」と弁護士や司法書士から社会福祉協議会や地域の成年後見支援センターなどの福祉系法人が請け負う「専門職後見人」があります。

成年後見人はどんなことをしてくれるの?

1.金銭に関する支援

預金通帳を管理し、お金の引き出しや振り込みをすることなどの財産管理。

2.生活に関する支援

本人の代理として介護サービスや施設入所の契約行為や年金や社会保険の手続きを行うなどの身上監護。

この時、財産の管理方法は本人の意思を尊重することが大原則であり契約等の代理をする場合は本当に本人のためになるか財産に余裕はあるかなどを考慮して行います。

成年後見人の業務ではない行為

・日用品の購入
・食事や排せつなどの介助や病院への付き添いなどの事実行為
・医療行為への同意
・身元保証人や身元引受人になること
・住居やその他生活の強制
・死後事務

※日常的な介護など本人にとって助かる行為であっても成年後見人の業務ではありません。

成年後見人の報酬

成年後見人には月額の報酬を設定することができ、その報酬額は裁判所が決めます。

この報酬額は利用する人の財産や仕事量によって定められ相場としては財産が100万円~200万円の場合は月1万円~2万円になり500万円から600万円の場合ですと月2~3万円ほどです。

成年後見人の全体的な平均額としては月1万円~2万円となります。

なお、この報酬は利用者の財産から支払われますが、財産が無い場合は市町村によって補助が出る場合もあります。

成年後見人制度の申し立て手続き

成年後見人を利用する際は各地域の家庭裁判所や裁判所の支部で申し立てと呼ばれる申請を行います。

申し立てができる方

・利用する本人
・4親等以内の親族
・各市町村の長(本人に親族がいなく、本人が申立をできない場合に限る)

申し立てをする際の順序

1.裁判所または地域の成年後見支援センターあるいはインターネットで「申立用紙」を入手します。

2.ケアマネージャーや相談支援専門員、病院などの福祉関係者に「本人情報シート」の記入を依頼します。

3.医師に判断能力に関しての判定をしてもらい「診断書」を記入してもらいます。担当する医師に成年後見制度の理解があるかどうかが重要です。

4.本人と申立人の戸籍謄本と住民票を取得します。

5.法務局にて成年後見制度を利用している利用者を登記してある後見登記等ファイルに登録されていないという「登記されていないことの証明書」を取得します。

6.申立書を記入し取得した書類と一緒に裁判所に提出します。

※提出後、受理のための面接や場合によっては医師の鑑定があります。医師の鑑定となった場合は費用がかかり、おおよそ2~3万円です。

7.その結果をもとに裁判所が審査をします。

その後、2週間ほどで確定し、後見人に通帳やその他財産等を引き継いで制度ができます。

申立から後見人が活動するまで1~3か月ほどです。

成年後見制度の申し立てにかかる費用

成年後見制度にかかる費用は申立時において収入印紙代が3000円~4000円、郵便切手が3000~5000円です。
だいたい1万円前後になります。

申し立て以外にかかるものとしては、鑑定料がかかる場合と後見人への報酬です。

まとめ

成年後見制度はだれがどんな時に利用するのかまだあまり知られていない制度で、

具体的には親亡き後というあまり早いうちから考えることが難しい部分もありますが利用される方が将来的に安心して生活を送ることが出来ます。

後見人は変更することも可能でありますので初めは親族で後見人を請け負い、

のちに信頼して任せることが出来る司法関係や福祉関係の職員を見つけてその人に依頼をするのが1つのモデルとしては多くあるようです。

しかし最も大切なのは制度を利用する本人の財産であるため本人の意思を尊重することです。

各地域の成年後見支援センターや相談支援専門員に利用することが本人にとってためになるのかをよく相談した上で利用をしましょう。